第1話 稀代の変革者、鍋島直正
17歳で藩主となった鍋島直正は、佐賀藩の重大な財政危機を痛感する。同時に、長崎警護の重要性も噛みしめ、藩の重要課題としたが、警護強化のためには財源の確保と、藩政の安定が急務であった。そこでまずは破綻状態だった藩の大改革に着手。類まれな経営力とリーダーシップで、瞬く間に藩の財政を立て直してゆく。そこへアヘン戦争が勃発し、外敵の脅威に日本全土 が震撼。いち早くその脅威を肌で感じていた鍋島直正がとった行動とは......?
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第2話 西洋砲術と鉄製大砲
アヘン戦争勃発の報せからおよそ3ヶ月。鍋島直正の姿は神埼・岩田台場にあった。そこで武雄の領主・鍋島茂義らによる砲術披露を目の当たりにし、佐賀藩で西洋砲術の本格導入を決める。さらに鍋島直正は長崎に寄港していたオランダ軍船・パレンバン号に、藩主自ら乗り込み視察するという、前代未聞の行動に出た。そこで西欧との圧倒的な技術差、長崎警護の脆弱さを痛感した直正は、幕府に鉄製大砲鋳造のための反射炉築造と、長崎警護強化などを進言し......。
第3話 近代化政策を支えた佐野常民
西洋技術の研究を重要視した鍋島直正は精煉方(理化学研究所)を設置することに。そこで鍋島直正は精煉方の頭人としてある人物を佐賀藩に呼び戻す。その人物こそ、藩校・弘道館を異例の速さで卒業した秀才・佐野常民であった。そんななかペリーが浦賀に来航し、日本中に激震が走る。台場の砲台整備を急ぐ幕府は、当時、日本で唯一、鉄製の大砲を鋳造できた佐賀藩に大砲鋳造を依頼。新たな時代の幕が開けられることとなる。
第4話 日本初の実用蒸気船建造
長崎海軍伝習所に送り込まれてきた多数の佐賀藩士たちを目の当たりにして、学生長で監督の立場にあった勝海舟は驚嘆する。オランダ語を理解し、船の扱いにも習熟。佐野常民をはじめとする佐賀藩士たちのあまりの優秀さに、オランダの教師団らも驚いていた。一方、藩士たちが伝習所で西洋技術を吸収している頃、鍋島直正は新たな計画を考えていた。それは「洋式海軍の教育施設の設置」ならびに「造船所の建設」という、未曽有の計画であった。
第5話 幕末最強佐賀藩
尊王攘夷の動きが激化するなか、高い軍事力と科学技術を持った佐賀藩は、朝廷、幕府の双方 から味方につくよう求められた。国防のために磨いた科学技術と軍事力が、内戦に用いられることに悲しむ鍋島直正。佐賀藩の軍事力は国内の紛争に使うべきではないと、なかなか朝廷・幕府どちらに味方するか態度を明示せず、最後の最後に朝廷へ味方することを明らかにする。ついに佐賀藩は5000人を超える兵力を出兵し......。
第6話 現代に受け継がれる鍋島直正の想い
時は現代。高校生のナオは、父の転勤により一家で佐賀に引っ越すことに。転校を嫌がってい たナオであったが、佐賀に残る鍋島直正らの想いに触れ、次第にその魅力に惹かれていく......